SEO に関わる「Navboost(ナブブースト)」と「Glue(グルー)」について解説します。
どちらも、Google が検索結果ページにおけるユーザーの行動を見ており、それが検索順位に関係する、という話です。
- Navboost とは
-
クエリに対する検索結果のクリックを見ている
- Glue とは
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クリックのほかにスクロールやホバーなど検索結果ページ(SERP)のユーザー行動を見ている
とくに目新しいものではありませんが、正しい知識を取り入れて誤った情報に惑わされないようにしておきましょう。
Google 検索の API が漏洩!?
2024 年 5 月 27 日に以下の記事が公開され、Google 検索の API が漏洩したと SEO 界隈が盛り上がっていました。
- An Anonymous Source Shared Thousands of Leaked Google Search API Documents with Me; Everyone in SEO Should See Them – SparkToro
- Secrets from the Algorithm: Google Search’s Internal Engineering Documentation Has Leaked
資料自体は本物かもしれませんが、それがすべて検索で実際に使われているかは不明なままです。
「事実」と「推測」を混同しないようご注意ください。
Navboost と Glue とは
Navboost と Glue は、Pandu Nayak 氏が独占禁止法裁判の証言で明らかにしたものです。
Navboost が見ている「検索結果」は、検索結果ページに出てきた各サイトのリンクを指します。
対して Glue は「検索結果のページすべて」を見ています。地図・カルーセル・ナレッジパネル・関連する質問などですね。
ブログでヒートマップツールを導入し、読者のクリックやスクロールを測定しているのと同じようなもの、というイメージでよいでしょう。
Google は、ユーザーがスマホで検索しているのか、どこで検索しているのか、というのもすべて把握して検索結果の反映に役立てているようです。
Navboost と Glue に関する誤解
Nayak 氏に対する質問にある「not web results」を切り取って、「検索結果だけではない = Google 以外の Web サイト」と解釈している方もいるようですが、完全なる誤解です。
And glue does everything else that’s on the page that’s not web results, right?
IN THE UNITED STATES DISTRICT COURT FOR THE DISTRICT OF COLUMBIA p.12
先ほどの図にあるとおり、検索結果はクエリに対する各サイトへのリンクを指しています。
「everything else that’s on the page that’s not web results」は、各サイトへのリンク以外を含めた検索結果ページ全体、という意味です。
Navboost は自分のブログ内のリンククリックも見ている、と解釈しないようご注意ください。
以下の記事もご参考まで。
Glue is the counterpart to Navboost and informs what other features are populated on a SERP.
What Pandu Nayak Taught Me About SEO
Navboost と Glue への特別な施策は不要
Navboost と Glue に関する事実を解説してきましたが、ここからは推測や個人的な考えも含まれます。
Navboost と Glue は注目すべき情報ではない
Navboost と Glue に関する証言は、とくに注目すべき話ではありません。
SEO 界隈では昔から「Google は検索結果の行動を見ている」というのが通説となっていましたし、その検証も多数行われてきました。
「検索結果のクリック率が順位に影響する」という仮説をもとに、クラウドソーシングなどでクライアントサイトのクリックを堂々と買っていた業者もいましたね(今もいるかもしれません)。
クリックだけで順位が変動する = だれでもスパムで攻略できてしまうシステムを Google が野放しにしておくことはないでしょう。実際にスパム対策は強化されており、クリックが増えただけで順位が上がることはなくなっていると思います。
その視点で考えても、Nayak 氏の証言は今さら感しかなく、重視すべきものではありません。
Navboost というシステムの存在が公にされたところで、改めて対策すべき点はないと言えます。
最低限の施策をしておけば問題ない
Navboost への有効な対策を考えるとしたら、次のようなものがあげられます。
- 記事タイトルを改善する
- 読者に明確な答えをわかりやすく提示する
- 読者を飽きさせない工夫をする
- 関連記事へのリンクをしっかり載せる
- リッチリザルト用にマークアップする
リッチリザルトを除けば、これらは「当たり前に行う最低限の施策」であって、Navboost の存在に関係なく実施すべきです。もっと言えば、検索に関係なく実施すべきものですね。
検索順位を上げるために xxx をする、という考え方をしていると、いつまでも後手に回る形になってしまいます。
コアアップデートなどで検索順位が著しく低下したなら、根本的な見直しが必要です。上辺だけのテクニックではどうにもならないので、時間をかけて改善しましょう。
Google コアアップデートで検索順位が低下したときの対処法
Google はブログ内のユーザー行動を見ているのか
ユーザー行動については、「ブログ内のユーザー行動も検索評価に影響するのか」という点が気になるところだと思います。
前述のとおり、Navboost と Glue は Google 検索結果画面を見ているシステムで、Google 以外のサイトは見ていません。
それとは違うシステムが存在し、全世界のサイト内のユーザー行動を見ているかは Google にしかわからず、SEO 界隈でも「見ている派」と「見ていない派」に分かれます。
個人的には後者ですが、どちらを信じるかはあなた次第。
Google が何度も公言しているように、アナリティクスのデータをランキングに使用していないのは本当だと思います。とすると、各サイトのデータがとれるのは Chrome しかありません。
「Core Web Vitals は Chrome のデータを使っているんだから、検索評価にも使われている」と信じている方もいますが、それもやはり憶測の域を出ない話です。
真相はどうであれ、たとえ見られていたとしてもやるべきことは変わりません。
検索のことは考えずにブログ内のユーザー行動を分析し、ブログの改善を積み重ねていくのはよいことです。それが間接的に順位向上につながれば、言うことはないですね。
まとめ
Navboost に関しては、本当に「今さら」の話だと思います。
コアアップデートに深く関連するものでもなく、100 以上あるシグナルの 1 つに過ぎません。SEO マニアならいざ知らず、ブログ運営者にとってはどうでもよい話。
「Google はブログ内の行動も順位に反映させていると公表した!」というようなデタラメを信じないようにだけご注意ください。