ブログを書いているときに最も気になるのは、「他サイトの記事や画像(著作物)をどこまで使えるのか」という点かもしれません。
もし次のように考えているなら、完全にアウトです。
- 引用元を載せていれば制限なく使える
- バレないように言い回しを変えればセーフ
- 複数サイトをつなぎ合わせれば問題ない
具体例を交えつつ、ブログ関連の著作権・肖像権・商標権について解説していきます。
著作権法とは
Web 上の記事・画像・動画は「著作物」で、公開した時点で自動的に著作権法で保護されます。
大前提として、その著作物を他人が勝手に使うことはできません。許可なく使用すると、民事でも刑事でもペナルティが発生します。
つまり、著作権者から損害賠償請求されることもあれば、権利侵害罪として懲役刑や罰金刑が課せられることがある、ということです。「知らなかった」で済まされる話ではないので、十分に注意しましょう。
引用とみなされるための条件
著作権法では、例外的に許可なく著作物を使用できる「引用」が認められています。
引用とみなされるには、以下すべての条件を満たしていなければなりません。
報道、批評、研究等の目的で、他人の著作物を「引用」して利用する場合の例外です。例えば、以下のような行為が該当します。
- 報道の材料として他人の著作物の一部を利用する
- 自説の補強や他人の考え方を論評するために他人の著作物の一部を利用する
【条件】
- すでに公表されている著作物であること
- 「公正な慣行」に合致すること(例えば、引用を行う「必然性」があることや、言語の著作物についてはカギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること)
- 報道、批評、研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること(例えば、引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であることや、引用される分量が必要最小限度の範囲内であること、本文が引用文より高い存在価値を持つこと)
- 「出所の明示」が必要(複製以外はその慣行があるとき)
※美術作品や写真、俳句のような短い文芸作品などの場合、その全部を引用して利用することも考えられます。
13.著作者の権利の制限(許諾を得ずに利用できる場合)p.70
※自己の著作物に登場する必然性のない他人の著作物の利用や、美術の著作物を実質的に鑑賞するために利用する場合は引用には当たりません。
引用元を明記していても、必然性がないと判断されれば無断転載となり得ます。
加えて、著作物の要約・改変・修正を行う「翻案」も NG です。文章であればコピーしたものをそのまま載せなければならず、画像や動画であれば加工修正なしで載せなければなりません。
以上をふまえて、引用に関連する具体例を見ていきましょう。
文章の著作権と引用方法
文章を引用するさいは、次の 3 点を守ってください。
- 引用元を明記する(Web サイトならリンクも必要)
<blockquote>
を使う(WordPress なら「引用ブロック」)- 改変せず原文をそのまま載せる(装飾もしないほうがよい)
詳しく解説していきます。
他サイトの記事の一部を引用するのは OK
Web 上に公開されているページの一部分をコピーして記事内に掲載するのは、真っ当な引用方法です。
WordPress は、「引用ブロック」を使えば <blockquote>
タグが適用されます。デザインはテーマによって異なりますが、CSS で調整可能です。
引用のさいは、自分の文章が「主」で引用した文書が「従」になっているか、という点に気をつけましょう。
主従の関係性は、質的にも量的にも当てはまります。引用は、あくまで自分の文章がベースにあり、それを補足するための資料として考えてください。
他サイトの記事をベースに記事を書くのは NG
他サイトの記事を模倣するのは、引用ではなく無断転載となります(言い回しや表現を変えても同じ)。
1 つのサイトだけではなく、複数サイトからのコピーも NG です。
たとえオリジナルの文章を挿入した場合も、量的・質的に引用部分が「主」となっていれば無断転載です。
外部ライターや AI に書かせた記事も、それが他サイトからの転載になっていれば著作権法に抵触します。
「他人の記事をベースにして記事を書く」ということが習慣化しているなら、今すぐやめましょう。仮に著作権に問題がなくても、第三者から見ればただの劣化コピーです。当然ながら検索順位も上がりません。
検索上位ブログを「真似する」と「パクる」は何が違う?正しい競合分析方法
他サイトの構成を真似するのはグレーゾーン
他サイトの構成を真似する(見出しの内容や順番を模倣する)のは、明確な著作権侵害とはならないかもしれません。
でも、それで検索上位に入れるかはまた別の話です。
構成を真似したところで、他のサイトに書かれているのと同じかそれ以下の情報しかなければ、あなたの記事に価値は生まれません。似たような内容になると、検索においてはドメイン勝負となってしまいます。
ツールに完全に頼って見出しを作成しているなら、オリジナリティを出すのはかなり難しいでしょう。
ラクしようとせず、頭に汗をかいて考えることをおすすめします。
ブログ初心者がオリジナリティの高い良質な記事を書くためのポイント
ショッピングサイトの商品概要や口コミを引用するのはグレーゾーン
Amazon や楽天などショッピングサイトの商品概要・口コミを引用するのは、著作権法では問題ありません(条件を満たしているなら)。
ただし、Amazon や楽天の規約では、商品説明ほか口コミなどの無断転載を禁じています。
もしアフィリエイトを利用しているなら、規約違反として提携解除されるリスクが高くなります。いったん提携解除されると二度とアカウントを作成できない場合もあるので、十分に注意してください。
口コミを集めたいなら、クラウドソーシングサービスや SNS などを利用しましょう。
画像や動画の著作権と引用方法
画像の引用は、著作権のほかに商標権や肖像権も絡んでくるため、かなり制約が厳しくなります。
完全にホワイトでないかぎり、画像の引用はできるだけ控えたほうがよいでしょう。
引用するさいは、以下の 2 点を守ってください。
- 引用元を明記する(Web サイトならリンクも必要)
- 改変せず元の画像をそのまま載せる(縮尺を変えないリサイズは認められる)
ただのイメージとして使うのは NG
文脈と関連性がなく、単なるイメージとして他サイトの画像を使うのは引用とみなされません。
たとえば、「ここはホンワカした雰囲気を出したいから、うさぎの写真を載せよう」と思って、Google 検索等で見つけた画像をそのまま掲載するのはアウトです。
引用元を明記しても、「自分は写真を持っていないから」というのは必然性にあたらず、条件を満たしません。
何らかの画像を載せたいときは、フリー素材サイトで探しましょう。
ただし、各フリー素材サイトの規約にはしっかり目を通してください。なかには商用禁止の画像もありますし、条件を満たさなければ使えない素材もあります。
ショッピングサイトの商品画像を使うのは NG
Amazon や楽天ほか、ショッピングサイトや公式サイトに掲載されている商品画像を使うのは、きわめて黒に近いグレーゾーンです。ほぼアウトと考えておいてよいでしょう。
法的に問題なくても利用規約では明確に禁止されていることがほとんどで、文章の引用と同じくアフィリエイト提携解除のリスクが高くなります。
逆に、アフィリエイトリンクとして用意されている画像を使用するのは問題ありません。
各アフィリエイトサイトで用意されている生成ツールを必ず使用してください。
「商品ページの画像をダウンロードしてアフィリエイトリンクを付ける」のはアウトです。
ロゴの掲載は商標権に注意する
Web サイトや商品・サービスのロゴは、著作権法で認められた範囲で引用できたとしても、商標権違反となる場合があります。
商品やサービスの紹介に使うのであれば、権利を保有している企業やサービスは黙認してくれるかもしれません(Amazon などは明確に利用禁止としているので注意)。
実際はそうでないのに提携しているように見せかけたり、文脈とは何の関連性もない形で掲載するのは完全にアウトです。
「ロゴのデザインを研究するため」など必然性があればまったく問題ありませんが、「ロゴがあったほうがわかりやすいと思うから」というような理由であればおすすめしません。
人物画像は肖像権に注意する
商品・サービスのヒーロー画像やバナー画像に人物写真が使われている場合、そのまま掲載すると著作権だけではなく肖像権侵害となる可能性があります。
画像を直接ダウンロードして使うのはもちろん、キャプチャ(スクリーンショット)でも同じで、とくに芸能人が起用されていたらほぼ NG と考えてください。
アフィリエイトリンクの場合、各広告主によって許可範囲が異なります。掲載前に必ず利用規約を読んでおきましょう。
YouTube や SNS の動画を埋め込むのは OK
YouTube や SNS の動画を記事内に埋め込むのは問題ありません。
ただし、以下の点に気をつけましょう。
- 各サイトで公式に認められている方法で埋め込む
- 著作権侵害コンテンツは NG
動画をダウンロードしてサーバーにアップロードしたり、動画内のワンシーンをキャプチャして掲載する、というのは引用とみなされない無断転載に該当します。
また、Instagram だけは注意が必要で、たとえ公式の埋め込み機能を使っても著作権侵害とみなされるかもしれません。許可を得るか、自分で自分の Instagram にアップロードした画像や動画だけ使うのが無難です。
Instagramが「画像の埋め込み機能を使っても著作権侵害になる」という公式見解を発表 – GIGAZINE
著作権に関する Q&A
まとめ
本記事で取り上げた例はごく一部で、細かくあげればキリがありません。
著作権法違反となっているか、最終的に判断するのは裁判所です。引用に該当するか判断がつかないときは、掲載を控えるか、著作権者に許可をとって堂々と掲載しましょう。
著作権違反となるのは、たいてい「自分で作るのが面倒だから」という考え方が根底にあります。
「何とか著作権を回避して他人のコンテンツを上手く使おう」と考えている時点でズレているので、まずは自分でしっかりしたコンテンツを作成することを心がけてください。