生成 AI でブログ記事を作成するデメリットと効果的な活用方法
2023 年から 2024 年にかけて AI がブームとなり、生成 AI を使ってブログ記事を書いている方も増えてきました。
しかし、ブログ記事を AI に書かせるのはおすすめしません。短期的に PV 数が増えたり収益につながったりすることもあると思いますが、そのまま継続するとかなり危険です。
AI を利用するデメリットを具体的に見ていきましょう。
AI にブログ記事を書かせるのはおすすめできない 4 つの理由
01. 不確実な情報になってしまう
AI に質問するとスラスラと答えてくれるので何でも知っているように思ってしまいますが、その答えがすべて正しいとはかぎりません。
たとえば「WordPress のドメインを変更する手順」への回答の一部をご覧ください。
一見して問題なさそうですが、一部のレンタルサーバーでこの手順通り実施してもドメインは変更できず、エラーが出てしまいます。
上記の回答をそのまま記事に載せると、あなたの情報を信じた読者のサイトが表示されなくなってしまうリスクが出てくるわけです。
もっとも、サーバーの仕様など背景をしっかり伝えるプロンプトを用意すれば正確性は増しますが、それだけ執筆者 / 編集者(あなた)には知識が求められます。
記事を読んだ読者から「エラーが出てしまった!」と問い合わせがきたら、どうでしょうか。WordPress に関する知識がなければ、解決策を伝えることはできませんよね。
そのジャンルについて十分な知識を持ち合わせていないなら、AI を使うべきではありません。
02. ブログや著者の信頼性が低下する
前述のとおり、記事内容に関する問い合わせに答えられなかった場合、読者からの信頼度は確実に低下します。
信頼性は検索評価に大きく影響し、いつまでたってもアクセス数が増えない原因になり得ます。
どのコンテンツが、エクスペリエンス(Experience)、高い専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)、すなわち E-E-A-T の面で優れているかを判断するための要素の組み合わせを特定します。
中でも、信頼性は最も重要なものです。
E-E-A-T と品質評価ガイドラインについて
Google は、「AI を利用しているだけで検索評価を下げることはない」と明言していますが、「信頼できる質の高い情報にかぎる」という条件付きです。
AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス
信頼できるかどうかの判断材料には、ユーザー行動も含まれます。
- ユーザー行動
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読者が Web 上でどのように動いたか(移動したか)を計測したデータ。どのような語句で検索し、どこをクリックし、サイト内で何をしたか、という一連の動きを指します。
たとえば以下のような、きわめてつまらない記事ばかり並んでいたとしたら、ユーザー行動は確実に悪化する(アクセスしてもすぐ検索に戻ってしまう)でしょう。
具体性に欠けているありきたりな内容で、読者に満足してもらえる記事ではないですよね。見栄えをよくするために画像を入れたりしても、それっぽい記事ができ上がるだけ。
SEO は集客手段の 1 つであって、目的ではありません。「読んでもらったあとにどう行動してくれるか」のほうが重要です。
とりあえず記事をたくさん入れておけば何とかなる、という考え方をしていると、読者からも検索エンジンからも見向きもされないブログになってしまいます。
03. 文章力が向上しない
ブログ記事の中心はあくまで文章で、文章力向上のためには、「ひたすら読んでひたすら書く」のが最も効果的です。
ところが、AI ありきになってしまうとインプットもアウトプットもおろそかになり、文章力は向上するどころか低下していくことになります。
収益につながりやすい体験談やレビュー記事が書けなくなり、いつまでたっても目的を達成できないかもしれません。こうなると、ブロガーではなく、ただのコピペ職人です。
また、リード文やまとめを自分で書き、メインを AI に書かせている記事をよく見かけます。そうした記事は「自分で書いた部分」と「AI が書いた部分」の文体が違うので、文章力の低さがより目立ちます。
以下は、先ほど例示した AI 記事を少し変更したものです。
ブログで収益を上げるのって難しいですよね!
そこで、成功するための重要なポイントを紹介しちゃいます!
1. 明確なテーマ設定
読者にとって魅力的なコンテンツを提供するためには、特定のテーマやニッチを選ぶことが重要です。自分が情熱を持って書けるテーマを選び、競争が激しい分野でも差別化を図ることがポイントです。2. 高品質なコンテンツの作成
SEOを意識しつつ、読者にとって価値のあるコンテンツを作成しましょう。読みやすい文章構成や視覚的な要素を工夫し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが重要です。3. 定期的な更新
定期的な更新は、ブログの信頼性を高め、リピーターを増やすために欠かせません。スケジュールを決めてコンスタントに記事を投稿することで、読者の関心を維持しましょう。(中略)
これらのポイントを押さえることで、ブログで収益を上げる可能性が高まります。根気強く続けていきましょう!
この文章に違和感がなく品質も問題ないと思うなら、文章力は確実に低下しています。
偏見かもしれませんが、文章力が低い人ほど「!」でごまかしがちです。
04. 改善方法がわからない
AI メインの記事でたまたま検索上位に入っても、いずれ落ちていくのは明白です。
または、検索上位に入っている記事はあるけど収益にはつながらない、ということもあるでしょう。
いずれにしても記事を中心にブログ全体を改善していかなければなりませんが、最初から AI 任せになっていると、どこをどう改善すればよいかわからないはずです。
「記事タイトルや見出しにキーワードを入れる」という表面的な施策では改善できません。表示速度の最適化や構造化データマークアップの導入といった、技術的な施策でも改善できません。
自分で書いた記事を改善するのに比べると、他人(AI)の記事を改善するのは何十倍ものスキルが求められます。
経験を積み重ねてスキルを磨く工程を飛ばしているわけですから、何もできないまま下降していくグラフを眺めるだけになると思います。
頭に汗をかいて自分で記事を仕上げるのは、今後の運営にとって必要な経験なのです。
改善方法すら AI に頼ろうとしているなら、コピペ職人を通り越して、AI にコキ使われる労働力になっているかもしれませんよ。
ブログで AI を活用する方法
AI をベースとして記事を書くのではなく、自分がベースとなり AI を活用するのは問題ありません。
検索キーワードの背景を探る
記事を書くにあたって検索キーワードを考慮に入れる場合、そのキーワードはどのような人が何を求めて検索しているかつかみきれない、ということがあるかもしれません。
AI に尋ねてみると、自分ひとりでは思いつかなかった情報が出てくることがあります。
だれに何を伝える記事にするかは、自分で決めましょう。
カスタマージャーニーマップを書いてもらう
検索キーワードの調査は、「点」で行うことがほとんどかもしれません。
しかし、検索からのアクセスを伸ばしたいなら、その前後の検索行動も含めた「線」を調査するのがおすすめです。マーケティングでは、カスタマージャーニーマップと呼ばれています。
- カスタマージャーニーマップ
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ユーザーが商品やサービスの存在を知る段階から、商品の決定・購入・購入後の行動までを表した全体像のこと。
たとえば「SONY コンデジ」で検索するユーザーは、その前もあとも何かしらの検索をして情報を探します。検索行動の全体像がわかれば、各ポイントに合わせて記事を書きやすくなりますよね。
こうしたキーワードは、関連キーワード調査では見つけづらいものです。
内部リンクによって記事がきちんとつながっていれば、たとえ一部の記事が検索上位に入れなくても、全体で見たときにアクセス数も収益も伸びているでしょう。
キーワード単体・記事単体で考えるのではなく、検索ユーザーに焦点をあててください。
記事を手直ししてもらう
どんなに記事を書き慣れていても、やはり誤字脱字はありますし、主語と述語のねじれなど文章の崩れが出てきます。
校正は AI が得意とする部分なので、おかしなところがないか見てもらいましょう。
AI による補正が強くなると、のっぺりとしたつまらない文章になるかもしれません。
「あなただから表現できること」が必ずありますから、その持ち味を消さないようにだけご注意ください。
AI が書いた完璧な文章であれば検索上位に入りやすくなる、ということはありません。検索エンジンのために記事を書いているわけではないですからね。
きれいで響かない文章より、多少おかしくても熱量のある文章のほうが読者の心に届きやすくなります。
まとめ
AI の活用事例をたくさん見て、「AI を使わなければならないのか」という思考に陥る方もたくさんいます。
作業の効率化など補助的な業務で利用すると便利ですが、AI が主体になってしまうと良い結果は得られません。
AI の書いた文章をそのまま転載しただけのコピペブログに価値はないので、あなただから書けることを今後も伝えていってください。
ブログ初心者がオリジナリティの高い良質な記事を書くためのポイント